たよりがないのは いいたより2

「ココログ」で書いていたお笑い中心ブログ『たよりがないのは いいたより』姉妹版。

テレビという「宝箱」~あてなよる~

 

「最近のテレビはくだらない」といわれて幾年月。でも、私にとって、テレビはいまだに知識の宝庫であり、普通に暮らしていたら見もせずに通り過ぎていたかもしれないことを教えてくれる「宝箱」です。


たとえば、NHKプレミアムで不定期放送されている『あてなよる』。

www4.nhk.or.jp

理研究家の大原千鶴さんが、「トロトロで呑む」「つぶつぶで呑む」といった何が出てくるか分からないようなものから、「ハムで呑む」「にんにくで呑む」という具材にこだわったものまで、とにかく何か一つの「くくり」で創作料理を作り、さらにそれに合うお酒を、ソムリエの若林英司さんが選んでくれるという番組です。

お2人の心のこもったおもてなしを受けられるのは、毎回異なる俳優やタレントなど、有名人2名様のみ。お料理は5品~6品。お酒は一品ごとに違うものをサーブします。

お客様は他の番組のように何かを求められることもなく、(おそらく)素に近い状態で大原さんの料理と若林さんがふるまうお酒の”マリアージュ”を堪能するだけ。
楽しそうに料理を作りながら、時にコロコロとこれまた楽しげに笑う大原さんは、誰に対しても同じように接し、緊張感を与えることもなく、料理だけでなく雰囲気づくりの天才。そして、大原さんの脇に控える若林さんも見事。さりげなく、大原さんの料理をお客様に出す手伝いをしたり、お酒に関しても小難しいことは言わず、選んだ理由が分かる一口情報を付け加えながら、より食事とお酒を楽しむ役割を果たしています。

画面を通してみている私も、その4人がいる空間の雰囲気に、お酒なしでも酔いしれてしまいそう。本当にリラックスして見られる番組ですが、そんなふうに見せるためには、大原さんや若林さんはもちろん、制作にあたっている皆さんのご苦労たるや、本当に大変なものがあると思います。見えないところでのたくさんの努力があるからこそ、本番で素晴らしいものが登場し、視聴者を魅了するのでしょう。

最近は、お酒を飲みながら街ブラする、という番組が多く、それはそれで面白いのですが、『あてなよる』はそうした番組とは一線を画す、どこまでもこだわりぬいた大人の番組です。

そして、その「こだわり」はナレーションにも表れています。

石橋蓮司さんのナレーションの声や読み方は、この番組にピッタリ。というより、この番組のナレーションの原稿の良さを引き出すのにピッタリ、というべきでしょうか。おでんにシャンパン、という組み合わせを「ひかれあう日本男児とフランスの舞姫」と例え、見事なマッチングをやり遂げた若林さんを「ソムリエめ、見事仲人役を果たしおったわい」(この番組でのナレーションは、いつも老 師匠風なのです)と表現するすばらしさ。こうしたうまさが、30分の中に何度か登場し、おいしい創作料理とお酒がふるまわれ、そして楽しい会話が弾む大人の空間に、よりいっそう引き込まれてしまうのです。

『あてなよる』を初めて見たのは、大好きな藤井隆さんがゲストに出た回でした。最初は藤井さん目当てでしたが、途中からは番組全体の雰囲気にすっかり取りつかれていました。プライベートでも親しい鈴木砂羽さんとご一緒の出演で、無理に誰かを笑わせるでもなく、暴露話をするでもなく、とにかく静かに楽しくゆっくりと時間が流れる、そんな番組だと思いました。

「だれだれのファンだから、この番組を見る」という選び方は当たり前だと思います。でも、時にはそこを少し離れてみる(だって、今は番組を録画して都合のいいときに見られるじゃありませんか)。そうすると、世界は広がり、一つのことを語るときにも、いろいろな面から話せるようになると思うんです。それが人としての深みにもつながったりするのかなあ…なんて。あるいは単に私自身、趣味が長続きしない浮気性だということの言い訳かもしれませんが(笑)。

『あてなよる』、次は9月23日(土)夜11時からだそうです。テーマは「巻き巻きで呑む」。お招きを受けるのは、俳優の林遣都さんと秋山菜津子さんです。

www4.nhk.or.jp

さて、次回は何が巻かれて登場するのやら。またまた楽しみです。

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本日も完璧でした。たぶん今、一番楽しみにしてる料理番組。#あてなよる #松茸 #金子貴俊 #草刈民代 #大原千鶴 #若林英司 #チーズ #すき焼き #nhkプレミアム #料理